第3期 野尻湖水質保全計画策定中


 10月28日、湖沼水質保全特別措置法、いわゆる湖沼法の第3期計画策定に係る地域懇談会が開かれました。


 平成6年10月に湖沼法の指定を受け、第1期(H6〜10)、第2期(H11〜15)と対策を講じてきましたが、COD(化学的酸素要求量)の環境基準を達成できていないため、引き続き平成16年〜20年度の5ヵ年の計画を策定し、各種水質保全対策を推進することにより、野尻湖の浄化、水環境の保全を図ろうというものです。



 これまでの対策事業と実績

●下水道の整備

 ・平成15年度末までに指定地域内99%達成

●流入水路等の浄化対策等

 ・伝九郎用水に水質浄化施設を建設

●工場・事業場排水対策

 ・上乗せ排水基準の強化

●生活廃水対策

 ・下水道への接続の促進

  平成15年度末までに66%接続

 ・浄化槽の適正な設置、管理の確保

 ・各家庭における生活雑排水対策の促進

●調査研究の推進

 ・水生植物の再生研究

  ホシツリモ等水生植物復元事業の実施

 ・水辺整備の試験施行

 ・非特定汚染源の実態把握 

  自然地域、農地等からの汚濁負荷の実態調  査

●環境保全学習、意識の啓発

 ・野尻湖クリーンラリー

 ・野尻湖クリアレイクフェスティバル


 第3期の主な課題

●生活・事業系排水対策

 ・下水道への接続促進等による事業場、家庭  など特定汚染源からの排水対策の推進

 ・排水規制対象外の小規模事業場並びに一般  家庭におけるキメ細かな排水対策の実施

●市街地排水対策

 ・降雨に伴う道路や駐車場からの市街地排水  の流入抑制

●農業地域排水対策

 ・環境にやさしい農業技術の組み合わせによ  る効果的な水質汚濁負荷削減

●自然地域排水対策

 ・降雨に伴う自然地域からの汚濁流入抑制

 ・森林の管理

●流入河川対策

 ・河川から直接流入する汚濁負荷の効率的な  除去方策の検討

●湖辺、流域の保全

 ・湖辺及び流域の自然環境の保全、良好な景  観の創出

●調査研究、啓発等

 ・野尻湖浄化対策の効果検証

 ・野尻湖の水質汚濁機構に係る調査研究

 ・地域住民が行う浄化活動の促進、支援の充  実



 野尻湖の水質の経年変化を見ると、

COD 

 第1期の目標値である1.3mg/lは達成できず、第2期で1.5mg/lに引き上げた目標値を平成13年、15年度においてぎりぎり達成したものの環境基準達成までには至っていません。

全窒素

 改善傾向が見られます。環境基準・水質保全目標値は設定されていませんが、徐々に下がってきているようです。

全燐

 改善傾向が見られます。環境基準は0.005mg/lで、第1期の平成8、9年度、第2期の15年度において0.004mg/lを達成しています。



 野尻湖に流入する汚濁負荷量を見ると、

COD 

 生活系は2.2%、自然系からの汚濁負荷量が86.4%

全窒素

 生活系が2.4%、農地系が28.1%、自然系が59.2%

全燐

 生活系5.0%、自然系75.2%

となっており、環境基準値を達成していないCODは、自然系からの汚濁負荷量がほとんどと言ってよい状況です。

 平成16年3月には非特定汚染源負荷対策計画検討調査報告書が提出されているようですが、今回それに関する詳しい説明はありませんでした。

 伝九郎用水の水質浄化施設である水生植物園では、当初の計画より水の量が少なく、窒素、燐が少ないために植物がうまく育たないようで、アシやヨシの刈り取りなどケアも大変であること、もう少し経たないと結果はわからないのでは、という報告がありました。

 また、自然地域からの汚濁流入については、鳥居川の上流で降雨時、晴天時に水質を調査したところ、降雨時に泥水等が川に多く入り、汚濁負荷が高くなるという結果が出ました。措置としては森林の適正な整備、管理や降雨時の流入水路を変えるなどの意見も出されましたが、難しい問題と言えます。



 第3期の水質保全計画(たたき台)は、自然相手の大きな問題を抱えたまま、とりあえずできることからという印象を受けましたが、非特定汚染源の対策のための調査研究と水質保全のための技術の開発が成果をあげられることを望みます。そしてやはり、湖を汚さないという意識を人々がそれぞれに持ち、そのために皆が動けるということこそが必要であると感じました。

 今後、環境審議会で出された答申(計画案)を関係機関と協議した上で、来年2月には計画を策定、告示される予定です。

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