お便りから

フォーラム編集宛にこんなメールをいただきました。野尻湖に暮らすものとして、気付きにくいこと、気付いていても手立ての見付からないことなど、たまに訪れる観光客はよく見ています。野尻湖で生活する人達も訪れる人達も気持ち良く過せる環境になることを願って、掲載させていただきます。



野尻湖フォーラム殿


 毎年、夏に23年間欠かさず来ている、いわゆる観光客の一人です。

 私たち家族は毎年妙高高原のペンションに宿をとり、最初に来たとき生後半年だった息子は既に23才になりました。上の姉と家族4人(これに爺婆が加わったこともありますが)で、今年も遊びに来ております。野尻湖はそこから毎回、必ず遊びに来る場所の一つです。



 今回、訪れた野尻湖で貴誌を拝見し、住民の方たちの中にも、野尻湖の前途を真剣に考えておられることを知り、少し、意を強くした次第です。



 年に一度、夏の時季にしかまいりませんので他の季節の状態はわかりませんが、それだけに、一年ごとに変わる湖の様子は、そこに生活しておられる方たちより劇的に感じられるような気がします。



 23年前に初めて訪れた野尻湖は、静かで、多くの観光客もいましたが、観光というより「静養」とか「ゆったりと自然を楽しむ」人たちが多く、湖の東側の外国人の別荘が立ち並ぶ湖畔など、まったく別世界のように感じたものでした。

 当時は、中央道も全線開通しておらず、名古屋から10時間くらいかけて来たのですが、その苦労もおぎなって余りある美しさでした。



 また、野尻湖は観光資源として大きな価値があるのでしょうが、よそから来る観光客にとっては、野尻湖単独のものではありません。長野善光寺に始まり、戸隠、黒姫、妙高、赤倉・・・車で30分ほどで行き来できる周囲のおびただしい自然や観光資源と密接な関連をもって語られなければ、野尻湖単独での観光客誘致や自然保護など考えられません。



 23年間の中には、暑い年、今年のように涼しい年、雨の多い年、少なくて湖が干あがりそうだった年ありましたが、それぞれの違った顔が、また、野尻湖でもありました。



 しかしここ数年で、そうした自然の作為でなく、人的なもので大きく湖の様子が変わったことがあります。

(1)高速や新18号線の建設によるアクセスの変化。

(2)周囲の売店など、閉鎖しているところの多さ。

(3)大型遊覧船。

(4)バスフィッシング。



(1)以前は、旧道の湖入り口付近が常に渋滞していて難渋しましたが、今はスムースです。いいことかどうかはわかりません。ただ、新道からの誘導看板がわかりにくく、行き過ぎてしまう人もいるのではないでしょうか。



(2)毎年、必ず「ぼーしや」さんでコーヒーを飲み、ジャムをお土産に買いこみます。ご主人の亡くなられたこと、貴誌32号で知りました。面白い方でした。ご冥福を祈ります。舟小屋さんでカレーをいただきます。小松屋さんでかき氷やアイスをいただきます。子供たちも大きくなったので、さすがに、足こぎボートなどには乗らなくなりましたが、別の時間の過ごし方をするようになりました。ところが、ここ数年、湖周辺のお土産屋さんなど、閉まったきりのお店が増えてきましたね。全国の観光地や商店街で同じようなことがあるのですが、閉まったきりのお店が並んでいると、たまに来る観光客は、とても寂れた印象を受けます。対処は難しいのですが、住んでおられない建物は駐車場にするとか、繁忙期だけでも町で店を開けるとか、なにか対策をたてられたらいかがでしょう。



(3)大型遊覧船は貴誌でもご意見が載せられていましたが、個人的には、野尻湖の景観や雰囲気、さらに言えば野尻湖の個性と相容れないものだと思います。子供用に白鳥丸くらいまではご愛嬌(うちの子達も小さい頃はとても喜びました)ですが、あれほど大型の遊覧船で回るような大きさの湖でもないし、付近の舟遊びには危険もあるようにも思います。誘致された方には申し訳ないのですが、これは、ない方が野尻湖の性格に合ってる様に思います。野尻湖の個性とは、大型の観光地に見られるような、大型の施設を作って団体客をどんどん誘致して・・・というものではないんじゃないかと私は思います。家族、友人、学生など、老人も含めてそれぞれがそれぞれに自由に楽しめる場所が野尻湖だと思うのです。



(4)バスフィッシング。 この魚が繁殖して、湖の景色がずいぶん変わったような気がします。以前ほどではないですが、概して釣人は傍若無人で、環境とか、他の客に対する思いやりに欠けているように感じます。湖の生態系も変わったと聞きます。対策を急がれることを望みます。



 たまに来る他人が言うべきことではないのでしょうが、全国の観光地で同じことが起きています。それは、風光明媚な観光地が、客をもっと誘致しようとして道路をつくり、大型施設を作り、遊ぶところを作って、結局、そこの地の個性を台無しにしてさびれてしまうという循環です。兼ね合いは難しいのですが、よく見極めて、野尻湖周辺の環境を守ってくださるよう、切にお願いするものです。



     2004年8月16日 名古屋市 大西

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