2007年12月冬 ● 編集発行 ● 野尻湖フォーラム 
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野尻 赤川産廃最終処分場計画 住民説明会が開かれる

--知識・技術・安全性に疑問--


業者による住民説明会

 10月2日、信濃町総合会館において(株)高見澤と(株)上田土木コンサルタントによる産業廃棄物最終処分場計画の説明会が開かれた。直接の地域住民である野尻区においても、また6月の信濃町議会においても説明会を開くことを拒否したにも関わらず、会社側が強行した形となった。
 当日は総合会館大ホールが約120名の住民で埋まり、激しいやり取りとなった。

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事業計画(高見澤配布より抜粋)

【計画概要】
 全天候型(屋根付)の廃棄物最終処分場。
 開発面積     約70,000平方メートル
 廃棄物埋立面積  約15,000平方メートル
 廃棄物埋立容積  240,000立方メートル
 廃棄物埋立年数  約8年間
 年平均埋立量   30,000立方メートル
 1日平均埋立量   約114立方メートル(170トン)
 搬入台数     17台/日

【受け入れる廃棄物の種類】
 一般廃棄物
  焼却灰及び飛灰,金属,ガラス,陶器類
  プラスチック,ゴム,溶解スラグ
 産業廃棄物
  燃え殻,煤塵
  金属クズ,ガラスクズ,陶器クズ
  廃プラスチック類,ゴムクズ,がれき類
  無害化された無機性廃棄物(13号廃棄物)
  以上、無機性の廃棄物のみ

【操業時間及び搬入経路】
 搬入・作業時間 午前8時〜午後5時
 休業日 日曜・祝祭日・その他
 搬入路 旧国道18号線より

【埋立方法】
 埋立方法は中間処理施設で処理された無機性廃棄物に、処分場内の移動式土質改良機で所定量のセメントを加えて混練した後でブルドーザーで敷き均し、振動ローラーで転圧して仕上げる。これによりコンクリートと同様の状態になり、粉塵の飛散や臭気、害虫等の公害を防止できる。

【処分場の構造】
 1. 構造は管理型最終処分場の設置基準に準じる。
 2. 一般工場と同じ上屋のある構造。
 3. 浸出水(汚水)は処分場が屋根のある構造であり雨水が廃棄物と触れることがないため、一切ない。従って地下水汚染や下流河川の汚染は全くない。
 4. 雨水については大雨等に対処するため、調整池を設置し、洪水を防ぐ構造とする。

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主だった質疑応答

町民 今回が初めての計画ではないと思うが、経過を話してほしい。5年程前の事実、具体的に何をして、野尻地区・住民にどんな迷惑をかけたのか。過去のことをチャラにして今日の説明会は始まらないと思うが。

*平成14年、計画への同意書に強行採決して判を押そうとした野尻区議会に対し反対した住民の職場や自宅に嫌がらせ行為があった事件。街宣車も来て区を騒然とさせた。

高見澤 委任契約していた不動産業者が町民の方に迷惑をかけたことは聞いている。会社としては陳謝し、今後いっさいこの業者は使わないということで現在に至っている。代理人がいつどういうことをしたという報告は受けていない。
町民 代理人だから何をしたか知らない、それで陳謝した。それのどこに誠意があるのか。
高見澤 それについては、また文書で陳謝・回答する。
町民 浸透水のトラベルタイム、浸透係数を教えてほしい。埋立の構造図を見ると、保護砂の下に遮水シート、クッション材を二重に敷くとなっているが、その下はどうなっているのか。普通は粘土ライナーを下に設けてその上にシートだと思うが。その粘土層によって、トラベルタイムをどのくらいに設定しているかというのが問題で、アメリカなどでは10年以上という例もある。日本の基準では1年というのがあるようだが、それでは地元住民は納得がいかないのではないか。せめてアメリカ並みのトラベルタイムくらいは計画してもいいのではないか。この構造図では浸透が1年もつかもわからない。
高見澤 廃棄物はすべて混練し、コンクリート状に固まるので浸透はしない。水が下に出ることはまったくない。粘土層の代わりに遮水シートを二重に敷いている。これは法律で決まっている。保護砂を上に敷くのは、重機作業で破れないように、遮水シートの保護材としてだ。いずれにしても法律で決められているから、構造その他、我々が勝手に決めていくという問題ではない。

*トラベルタイム=何年以上浸透しないか
*浸透係数=1秒間にどれくらい水が浸透するか

町民 燃え殻や煤塵に中にはダイオキシンがどのぐらい含まれているのか。
高見澤 3ナノグラム以上のものは埋立できないことになっている。基準では1ナノグラムまで出て良いことになっている。
町民 あの大きな施設で出たらすごい量になるのでは。
高見澤 出ない。処分場はコンクリートで固めて埋めていくので、環境中にダイオキシンが出ることはない。
町民 地形的に妙高、上越市などの下流域にも影響が及ぶ。新潟第2の米作地帯である関川水系土地改良区からも県議会に反対の陳情があがっている。当町長は下流域も地元だと指定している。新潟にも行って説明する必要があるが。
高見澤 下流域からの反対は、汚水が下流に流れ込むという不安からきていると思うが、まだ説明する機会を得ていない。説明要請があれば行く。
町民 計画地は季節風の風上である。飛灰がどのくらい飛ぶかといった予測、調査はしているのか。信濃町は観光業が主体である。風評被害も予想される。
高見澤 作業場は屋根付きですべて囲う。セメントで混練するので飛散はほとんどない。焼却灰は含水率20〜30%の湿潤状態で入ってくる。混練するのにその水分で十分な状態だ。舞うような状態では入ってこない。いっさい舞わない。観光への影響は、小諸でやっている施設では混練して埋めるという当時珍しい方法だったので、月に1000人くらいの視察者があった。視察者は地元に金を落とす。
町民 13号廃棄物とは。これがいちばん危ないし、基準を上回るものだと思うが。
高見澤 政令第2条第13号で決められた廃棄物で、無害化処理されたもの。埋立てるために埋立てる生地に合わせるようにコンクリを練ってコンクリを固化したもの。13号廃棄物にもいろいろあるが、我々は無害化処理された無機性廃棄物しか入れない。実際には13号廃棄物は幅が広いので、私(上田コンサル)は入れないほうが良いと思っている。この場で決めていい。それは入れない。
町民 そう簡単に中身を変えられる計画は、悪いほうへも変更できるということだ。信濃町は農業、商業、観光で成り立っている。風評被害は大変な問題だ。この計画は断念してほしい。
赤川埋立予定地はかなりの急勾配
埋立予定地に入る林道
町民 地質調査はどの程度やったのか。廃棄物を埋立てた後の重さは何トンになるのか。傾斜が急な所だが崩れないか。地下の排水パイプはもつのか。調査井戸での水質調査はどの程度やるのか。基準値に当てはまれば県はもうやらなくて良いということになるだろうが、ペーハーがどのくらいまで管理するのかとか、どこを調査するとか、そういうことはいっさいこの計画書には書かれていない。
高見澤 地質ボーリングは7ヵ所、深さ30mやった。(重量については答えられず)検討していきたい。調査井戸は最低でも2ヵ所は掘っておいて、埋立て後2年はやらなければならないことになっている。県で調査して、止めていいかどうかは我々の判断ではない。
町民 環境保護法などいろいろあるが、企業としての社会的責任を負っているはずだ。日本列島の屋根である自然の原点のような所へこんなものを持ってこようというのがわからない。
高見澤 施設はどこかに造らなければならない。自然環境の豊かな所に、安心・安全で汚水等が出ない施設を造るわけだ。
町民 前回の計画から1km山へ上がった所に変更したのはなぜか。安全性はどうなのか。今回の計画地は等高線のきつい所ばかりだ。緩いのは調整池の所だけで普段でも水が集まる場所だ。それを承知でやるのか。
高見澤 ときたま地権者が一人であったので購入した。最初の計画より高い部分もあるが、5区画に分けて安全性を高める工法を考えた。この計画で進めたい。
町民 ボーリングもやり、データも取ってあると思うが、なぜ詳しい資料やデータを出さないのか。これでは私たちは何も検証できない。事故が起きたら健康被害を受けるのはこの地域だ。説明会をやるのなら住民が納得するような説明をしてほしい。そうでなければこれを説明会だとは認められない。
高見澤 データ等は役場へ提出する。私どもの社員も信濃町にいるし、地元に被害の起こるような計画は作っていない。説明が不十分なところが多々あったが、質問に対しては役場のほうへ文書で回答する。知識不足の点もあったが、異議・質問等あれば、役場に出してもらえれば文書で回答する。
町民 私たち野尻の住民は、この産廃問題で10年苦しんできた。5年前には街宣車も来た。そして複数の野尻区民の自宅や職場に再三の嫌がらせ電話もあった。そのうちのひとりはそれが原因で職場を解雇された。そういうことをしている会社に対し、野尻区は臨時総会を開いて産廃施設の建設には絶対反対すると決議している。この内容を高見澤社長宛に通知し、今後一切の交渉を断ると文書で送ってある。それなのになぜ今日の説明会なのか。計画を白紙撤回して今日はお帰りください。
高見澤 承っておきます。

 今回の説明会は資料も以前に出されたものと変わらず、調査データも示されず、安全性を主張する根拠も示されなかった。法律、マニュアルに基くと言うばかりで、具体的安全管理対策や事故時の対策も示されていない。建設の許可申請に必要な「説明会」を開いたという事実を整えるだけのものであったという批判があがるほど、内容的にもお粗末な説明会だったと言わざるを得ない。参加者からは「これでは説明会と言えない」「住民説明会とは認めない」との声が相次いだ。

産廃処分場に関する勉強会

 10月1日と11月14日、県内や全国各地で産廃問題に関わってこられた関口鉄夫氏(環境科学)を招いての学習会が開催された。10月1日(信濃町区長会・野尻区産廃対策委員会・さざなみ爽風塾の企画)は(株)高見澤の説明会の前日ということもあり、関心を寄せる150名ほどの町内外の参加者が熱心に聞き入り、また質問をしていた。関口氏は、(株)高見澤の計画概要書をもとに、この計画(構造)の問題点、計画書の不備点、各地の産廃施設で実際に起こっている問題、施設付近での被害などを具体的に話された。11月14日(信濃町主催)は高見澤説明会での内容を検証、ずさんな計画を指摘され、起こりうる被害、住民がなすべきことを話された。

【計画の問題点】
・搬入する廃棄物の性状・管理・監視等について説明がない。
・安全性を論ずるための基礎データが何も示されていない。
・処分場の技術・構造・施工方法等についての説明がない。
・処分場の維持管理に関する説明がなく、法的に不備な施設。
・立地検討がされていない。

【受け入れ廃棄物】
・無機性の廃棄物のみを受け入れるとあるが、プラスチック・ゴムは有機性廃棄物であり、有毒な化学物質を発生する。
・溶解スラグは水銀・鉛など沸点の高い重金属を高密度に含有している。
・飛灰・煤塵はダイオキシンや重金属などの有害物質が高濃度に含まれている。埋立て作業中の飛散や運搬中の事故は即被害となる。

【処分場の立地】
・処分場の立地には、分厚い粘土質の地層があること、その地層内に地下水がないことが条件となるが、調査したのか。

【処分場の構造】
・木矢板の材質が問題。木材では腐敗する、コンクリートではシートが破断する、廃プラスチック類を固化したものでは有害物質が溶出する。
・アースアンカーの施工部分はシートの破断の原因となる。
・地下水の分布・量・流動方向などのデータがなく、科学的根拠がない。地下水集水管の配置図が示されず、地下水を集水できるか判断できない。さらに、廃棄物の加重により破壊する可能性が大きい。
・遮水シートは好条件でも15年程度の寿命(遮水工協会)ということで、製造時のピンホール・敷接時の接合不良や廃棄物の圧力・化学作用・地盤の変化、経時疲労等により、建設時から破損が始まる。東京の日の出町・谷戸沢処分場では遮水シートの破損修理箇所が92年に108ヵ所、翌年にはさらに202ヵ所、その翌年にはさらに353ヵ所と年々新たに増え続けた。町田市その他の最終処分場でもシートの破損がいたるところで見られるなど、遮水シートの脆さが立証されている。
・セメントで混練して固まるから排水はないというが、廃棄物の水分量にもよるし、コンクリートは水を通す。排出水は必ずある。さらに、さまざまな廃棄物と混練したコンクリートは通常とは比較にならないほど劣悪なものとなる。

 関口氏は、計画の処分場は「汚染の時限爆弾」であり、計画書、説明会の内容を見る限り、(株)高見澤の技術力はかなり疑問であり、経営上の試算でも通常のものを入れるならとても採算の取れない施設であると話された。住民が主張すべきは健康に生きる権利「平穏生活権」という人格権であると強調された。

県の廃棄物行政は逆行か

 10月25日、県は「廃棄物の適正処理の確保に関する条例(案)要綱」を公表した。来年2月の県議会に提出を目指すという。

 2004年に田中前知事が作ろうとした「信州廃棄物の発生抑制と良好な環境に関する条例案」は県議やほとんどの市町村長の反対により廃案となっている。この旧条例案は発生抑制(生産・企業活動の出発点において、廃棄物の発生そのものを抜本的に減らしていくこと、資源としての再活用。企業は社会的責任として、作ったものは100パーセント回収して再利用し、ゴミになるものをかぎりなくゼロにする)を基本にしたものだった。今回出された条例案には発生抑制の項目はない。新条例案は「廃棄物の適正処理の確保並びに廃棄物の処理に関する地域の紛争防止を目的とする」ものである。

 現在の県の要綱では「住民同意書」の添付が決められているが、新条例では「関係市町村」「事業者」から意見を聞き、利害関係者である施設周辺住民の意見は「必要に応じて」聞くということになる。また、「知事は、事業計画者の報告、利害関係者又は関係市町村長の意見及び指針への事業計画者の対応を総合的に考慮のうえ、各事項について問題がないと判断したときは承認し」となっており、知事の判断いかんで決まることになる。さらに、利害関係者(地域住民)を、最終処分場においては「予定地の境界から1kmに居住する者」と定義している。新条例は誰のための条例かという住民の批判は多い。さらに上位法である「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」よりも全体的に甘くなっており、時代に逆行しているという指摘もある。

 来年2月の県議会で承認され、4月から施行になる公算が高い。村井知事は現在継続中の案件について、新条例施行後に申請されたものは適用するとしており、説明会以後動きのない(株)高見澤だが、4月以降の申請を考えているものと思われる。
(文責 編集部)

 

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*「しとやかな恋人」続編
*野尻赤川産廃最終処分場
*編集後記

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題字:前田道雄
本文中の明記なき挿絵等は編集部による。