2018年7月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

野尻湖ナウマンゾウ博物館 第33回特別展
「ヤベオオツノジカとヘラジカ」

野尻湖ナウマンゾウ博物館 学芸員 関めぐみ

 野尻湖ナウマンゾウ博物館では、第33回特別展「ヤベオオツノジカとヘラジカ」を3階特別展示室にて開催中です。

 野尻湖発掘を代表する動物といえば、もちろんナウマンゾウですが、シカの仲間、特にヤベオオツノジカの化石も多数見つかっています。第21次野尻湖発掘(2016年)では割れたヤベオオツノジカの上腕骨の化石が見つかるなど、最近でも重要な発見が続いています。また、2008年には、今は北極圏にしか生息していないヘラジカの化石が見つかり、氷河時代の野尻湖の動物たちの仲間に加わりました。

 野尻湖と同様に、ヤベオオツノジカとヘラジカの化石が見つかっている場所のひとつが、岐阜県郡上市の熊石洞です。この場所では保存状態のよい化石が多数見つかっていて、2つのシカの骨を比較する研究がおこなわれ、それぞれのシカの特徴が明らかになってきました。普段見ることができない熊石洞産の本物の化石をお借りし、展示しています。

 今回の特別展では、野尻湖産のヤベオオツノジカの化石も多数、展示しています。オスのシカに特徴的な角ですが、野尻湖からも多くのシカの角が見つかっており、初公開となる化石もあります。ヤベオオツノジカの角は、額の骨から角幹(かくかん)と呼ばれる幹のように太い角がのび、その先に掌状角(しょうじょうかく)と呼ばれる手のひらを広げたような形をした部分があります。角幹から枝分かれして、前の方へは眉枝(びし)と呼ばれる枝角がのびます。

 野尻湖では、角は完全な形で見つかることはまれで、各部分がばらばらになって見つかることがほとんどです。角幹と呼ばれる幹状の部分に注目すると、太さが様々であることがわかります。この太さの違いは、シカの成長を表しているのではないかと考えられています。 ⟩⟩⟩

 


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